メディアでは”30年ぶりの高値”が連日話題に上る日経平均。30年間低迷を続けてきた日経がついに復活の兆しを見せてきました。
投資をしている人の中にも為替リスクを気にしなくてもよい、日本株を持って置きたいという人も多いのではないでしょうか。
今回は日本版S&P500指数と言ってもよい、JPXプライム150指数とそれに連動するETFが登場しましたのでご紹介します。
〔結論〕
・東証プライム市場に上場する”選りすぐりの150銘柄”で構成される指数
・この150銘柄は将来性と収益性の観点から「稼ぐ力」を持つ企業を選定
・同指数に連動する「iFreeETF JPXプライム150(コード:2017)」が2024年1月24日に上場
・すごくいい銘柄だと思うが、個人的には様子見
JPX150プライム指数とは
JPX150(JPXプライム150指数)は、日本取引所グループ(JPX)が開発した株価指数です。2023年7月3日から算出が開始され、東証プライム市場に上場する時価総額上位500銘柄の中から、収益性と将来性の観点から選定された150銘柄で構成されています。
JPX150は、価値創造が推定される日本を代表する企業で構成される指数で、そのコンセプトは「稼ぐ力」です。
これまで日経225(225銘柄で構成)やTOPIX(約2000銘柄で構成)といった指数が存在していましたが、これらの指数との最大の違いは「新たな価値を想像する力を持つ企業で構成されている」という点かと思います。(選定基準については別段落参照)
言い方を変えると、日経やTOPIXのなかから「存在することを目的にしたゾンビ企業」や「利益を還元することをしない、お金を貯めこむ企業」を排除した指数とみることもできます。
つまり、株主にとって投資する価値のある企業150社ということになります。
JPX150プライム指数に組み込まれる企業の選定
価値創造が推定される企業の選定基準としてROEとPBRを用いて選定を行っています。
ROE(Return On Equity)とは、自己資本利益率や株主資本利益率とも呼ばれる財務指標です。非常に端的に説明すると、値が高ければ資本を上手に使っている企業と判断できます。
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価純資産倍率と呼ばれ、企業の株価と純資産の比率を示す指標です。株価が割安か割高かを判断する目安として用いられます。昨年からよく言われているのは「PBR1倍以下の企業は解散すべき」と言われています。(PBR1倍以下は投資家から預かった資金を減らしているということになるためです。)
iFreeETF JPXプライム150
2024年1月24日に、JPXプライム150指数に連動するETFが上場しました。銘柄コード:2017、iFreeETF JPXプライム150です。
信託報酬率は0.2145%で、2024年2月10日段階での終値は1008円です。
「iFreeETF JPXプライム150」はどんな人におすすめ?
現段階では、私自身の購入予定はありません。それは、私自信の投資方針とマッチしないためです。ですが、いずれ状況が変わればこの商品に投資する可能性が十分にあります。
では、どのような状況かということについて考えていきます。
①為替リスクを取りたくない人
NISAの拡充により、多くの資産が米国株へ流入していますが、米国株への投資は「価格変動リスク」と「為替変動リスク」の2つのリスクを同時に取っていることになります。
それではリスクを取りすぎているという人は、価格変動リスクのみのJPX150への投資が選択肢に入ってくるかと思います。
②日本株をポートフォリオに組み込んでいるひと
日本株をポートフォリオに組み込んでいるという人にとってはよい商品かと思います。
現在、1株あたりの価格がそこまで高くありませんので、ポートフォリオの割合を調整するのに持って来いの銘柄かと思います。
私はiDeCoの運用を米国40%、全世界20%、日本株10%、新興国10%、債券20%の割合で行っていまっす。このiDeCoの運用商品にJPX150が追加された場合、日本株で運用している部分を乗り換える予定です。
③株式投資を始めてみたいというひと
もっともお勧めするのは、これから株式投資を始めてみたいという人です。
株式投資を始めてみたいという人には、大きなお金で投資を始めることはあまりお勧めできません。株式投資にはやはり値動きがつきものです。大きなお金だと一気に数万円の動きがあるなんて言うこともザラにあります。
投資を始めたばかりのうちはそういった値動きが気になって仕方ありません。
そういった意味で、少額でも始められ、株の動きにも慣れていくという意味ではもってこいです。
この商品を入り口に投資についての知識を身に付けていくことが良いでしょう。
注意点とその分析
この指数をについて以下の3点について検討しておく必要があるかと思います。
①他指数と比較したパフォーマンス
②150社への分散で大丈夫か
③流動性と純資産高
①のパフォーマンスについて、国内の代表的な指数と比較してみます。
JPXプライム150についてよい部分をかいつまんで述べてきましたが、本当に良いパフォーマンスが出せるのかとい部分についても考えなければなりません。
以下は、大和アセットマネジメントのTOPIXとJPX150のパフォーマンスを比較したグラフです。
このデータは仮に2013年にJPXプライム150があったらという前提です。
見てみると一部の期間で上回る時期があるものの、大きな差はないように見えます。
どう資料の3年リターンを見ても、大きく上回っているわけではありませんし、直近の3年間はTOPIXの方がパフォーマンスが上回っています。
②の国内分散150社で足りるのかということについて考えてみます。
S&P500は米国約500社へ分散投資を行っています。JPX150指数はS&P500指数と同様に時価総額加重平均という算出方法を用いており、時価総額の大きな企業に偏りが出てしまいます。
過去にはニフティ・フィフティ(訳:ちょっとイケてる50銘柄)相場という、1970年代初めの米国で見られた少数優良銘柄中心の上昇相場がありました。この相場は小数に偏りすぎていたために、インフレとともに終焉を迎えました。
とはいえ、現状のS&P500もS&P7などど揶揄されていますから、どの程度の銘柄構成数が適当なのかはご自身で判断していくことになろうかと思います。
この辺は米国ETFのSPY(S&P500)なのかVT(米国全株式)にするかの論争に似てくるように思います。
③流動性と純資産について
iFreeETF JPXプライム150の純資産は、2024年2月9日時点で18.72億円です。流動性も比較的高いですが、認知度的にはもうひとつといったところのように思います。
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